昨年は太宰治の生誕100年でしたので、本屋さんに太宰治の本が多く並びましたね。これに便乗して読んでみようと思って買っておいた本です。
若かりし頃、「人間失格」を読んでちっとも面白くなくて、途中で投げ出した記憶があるので、今までなかなか彼の本は買う気にはなりませんでした。
太宰治という名前は、中学の教科書に「走れメロス」が載っているので中学生にはお馴染みかもしれませんね。

そして読んでみると、「すごく、面白い」というわけではありませんが、太宰治の境遇などと併せて読むと、登場人物に自分の思いを寄せて書かれてあることが想像できて、なかなかに興味深く読めました。

「斜陽」は、没落貴族の家族を娘の視点から描いてあるのですが、その母の描かれ方が独特で愛らしく好感がもてました。特に冒頭に描かれた母のスープの飲み方で、いかに上品で屈託がない人かがよくわかり、面白く話は進んだのですが、後半のかず子の上原への行動は、説明や過程が少なかったからか、突飛にも思えて前半ほどの魅力がありませんでした。

弟が自殺するのも遺書を読んでも、納得できなくて・・・。

太宰治は、自分のことと重ねて書いてあるのだと思いますが、後半は私好みではないということです。

でも、これを機会にまた別の本を読んで見ようと思っています。