「小さいおうち」 というと、バージニア・リー・バートンの絵本を思い出します。昔、子供に何度も読み聞かせをしていて、私の好きな絵本の一つですが、探してもありません。どこへ行ったんでしょう。

偶然同じ名前の本だと思っていたら、最終章にその絵本のことが出てきて、偶然の名前の一致ではありませんでした。また、戦争物はあまり読まないのですが、ある種、これは戦争物でした。

リアルな戦争描写はそれほどありませんが、戦争に巻き込まれた一家の話です。一家というより、そこの奥様を中心に、お手伝いさんの目線から当時を振り返っての想い出話というか、言い残したことというか、不思議な余韻が残ります。

一見何不自由ない家庭に見えて、人としての感情がある行動を起こし、波紋を広げ、人の気持ちに何かを残していく。

何気ない生活にも、個々に歴史が刻まれていると感じる一冊です。

途中、中だるみしますが、最後まで読んでください。最終章を読むと、あー、そういうことだったんだ!と、心に刻まれます。

うまいなー、と思っていたら、この本、直木賞を取っているようです。知らなかった。