「悩む力」姜 尚中 Kan Sang-jung 著 を読みました。
社会学者・マックス・ウェーバーと夏目漱石の著書を参考に、姜さんが、悩むことについて考察してある本です。
生き方というものを立ち止まって考えてみる、よい機会を与えてくれます。
心に残ったいくつかの言葉を拾って紹介してみますと・・・
第1章「私」とは何者か からの引用
自分の城だけを作ろうとしても、自分は立てられないのです。
その理由を究極的に言えば、自我というものは他者との関係の中でしか成立しないからです。すなわち、人とのつながりの中でしか、「私」というものはありえないのです。
まじめに悩み、まじめに他者と向かい合う。そこになんらかの突破口があるのではないでしょうか。
第4章 「青春」は美しいか からの引用
私は青春のころから自分への問いかけを続けてきて、「結局、解は見つからない」とわかりました。と言うより、「解は見つからないけれども、自分が行けるところまで行くしかないのだ」という解が見つかりました。そして、気が楽になりました。
題5章 「信じる者」は救われるか からの引用
自分を信じるしかない、「一人一宗教」的に自分の知性を信じるしかないと思っています。
自分でこれだと確信できるものが得られるまで悩みつづける。あるいはそれしか方法はないということを信じる。
第6章 何のために「働く」のか からの引用
社会というのは、基本的には見知らぬもの同士が集まっている集合体であり、だから、そこで生きるためには、他者から何らかの形で仲間として承認される必要があります。そのための手段が、働くということなのです。
人間というのは、「自分が自分として生きるために働く」のです。
第7章 「変わらぬ愛」はあるか からの引用
「愛には形がない」
「愛のあり方は刻々と変わる」
相手に対して熱烈な愛情を持ち続けるのは不可能に近いことで、その温度が下がったとき、多くの人が寂しさを感じるでしょう。しかし、それは愛のありようが変わっただけであり、愛がなくなったわけではないのです。
愛とは、その時々の相互の問いかけに応えていこうとする意欲のことです。
愛のありようはかわります。
終章 老いて「最強」たれ からの引用
「一身にして二生を経る」ということで、姜さん自身のこれからの夢が語ってあります。
役者になることと、映画を作ること。そして、ハーレーダヴィットソンに乗ること。
こういう夢を語れる姜さんって、素敵ですね。
生きることに関する姜さんの考え方を、ウェーバーからの引用、また、夏目漱石の主人公の行き方を引き合いに出して述べてありますから、興味深く読みやすいです。
また、夏目漱石をより深く理解できます。
大人は勿論、色々と悩みが出てくる中学3年生から高校生にもお薦めの本です。
人生、これからも大いに悩んで生きよう!
中高生にお薦めの一冊「悩む力」
- 2008 年 8 月 23 日
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