中2の国語の問題集に幸田文さんの「季節のかたみ」からの出題があり、味わいのある文なので、授業に取り入れました。
幸田文さんの本は読んだことがなかったのですが、しみじみとして心に響きました。
あくまで国語の随筆の問題ですので、文としてはB5、1枚の量です。
別れについての話題で、まずは、列車から見たききょうの佇まいに別れの挨拶を味わったところから話は始まり、別れには、最後の別れである死もあれば、新しい出発である門出にも別れがある、と続く。
そして、身近にいた娘さんとの別れに際して、はなむけに別れの心づかいを話すくだりが良いのです。
以下、抜粋です。
「はき古しのサンダル、使いかけの化粧水、書き反故、空き箱など一切残さぬこと、それらを始末する時、がさつにせかせかしないで、しっとり落ち着いた気持ちにと心掛け、一つ一つにここが区切りなのだ、ここで一段落終わるのだ、と思い思い片付けてみてちょうだい、こう教えるのが私の、あなたへの世話焼きのおしまい、そう片付けるのがあなたの、ここでの生活のしめくくりだ、と言った。」
彼女は素直に、正直にそうしたらしく、次のように言います。
「別れは心づかいによって、きれいにも、温か味あるものにもなることがわかった。」
そして、別れの日、見送って洗面所へ行ったら、そこに白い小菊がたくさん入れてあった。
という内容なのです。
掻い摘んでいるから良さが伝わり切れないとは思いますが、なにか味わいがあって、早速その本、「季節のかたみ」を注文しました。
国語を教えていると、こういう風に心を打たれる文に出会うことが多々あり、国語という教科に面白みを覚えます。でも、学生の頃はこうは思わなかったな。
生徒達もこの面白さは大人になって気づくのかもしれません。
国語の教材から味わいのある文章
- 2008 年 1 月 12 日
- 塾長 Michikoの部屋