教育評論家のアドバイス的な本や一個人の子育ての成功体験談といった本はたくさんありますが、これは実験データに基づいた科学的根拠(エビデンス)のある理論ですので、説得力があります。

どんな実験がどうかも詳しく書かれていますが、それはここでは省いて、その中で特に私が興味をもったことをいくつか紹介します。

お父さんお母さんたちは、「勉強しなさい」と家庭でおっしゃっていると思いますが、その「勉強しなさい」という声かけにはあまり効果が無いそうですよ。むしろ逆効果な場合もあるとか。「勉強を見ている」または、「勉強する時間を決めて守らせている」という、親が自分の時間を何らかの形で犠牲にせざるを得ないような手間暇かかる関わりというのは、かなり効果が高いというそうです。わかっちゃいるけど、なかなか・・・とは思いますが、やはり、子どものために時間を割く。手間暇かけることが大事なんですよね。

人生の成功に重要なのは「非認知能力」だというのは、興味深いですよ。IQや学力テストで計測される能力を「認知能力」と呼び、誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さといった人間の気質や性格的な特徴を「非認知能力」と呼ぶようです。そして、その非認知能力は、「人から学び獲得する」と書かれています。中でも特に大事な非認知能力は、次の2つです。それは、「自制心」と「やり抜く力」。

では、その非認知能力を鍛えるにはどうしたらよいのか。「自制心」は筋肉のように鍛えると良いと言われています。特に大事なのは、継続と反復。また、細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理するのも有効だそうです。

「やり抜く力」は「能力は努力によって後天的に伸ばすことができる」と信じる「しなやかな心」を持つことが有効だそうです。

ともすれば、認知能力を示す成績ばかりに目が行きがちですが、作者は、非認知能力の重要性をかなり強調されています。部活動や生徒会、課外活動などが、こういった非認知能力を鍛える手段として有効だそうですから、成績が下がったからといって部活をやめさせるという選択は考えた方が良さそうですね。

学力テストの都道府県別順位が毎年発表されますが、その持つ意味や、その学力が単純に学校の責任だけとは言えないことや(なぜなら、学力の50%は家庭や本人の要因だから)、良い先生とはどんな先生かなどなど、その他興味深い内容が載っています。

そうそう、上手な褒め方や、効果的なご褒美の与え方も実験に基づいて述べてありので、興味深いかも。