1月16日の朝日新聞に東大助教授の本田由紀さんが書かれた「『家庭の教育力』のまやかし 格差補完 公的な充実を」という題名の記事が載っていました。
 その中で、本田助教授は、次のように述べられている。
「数ヶ月間、小学校高学年の子供を持つ母親約40名にインタビューを行ってきた。そこから見出されたのは、母親たちがそれぞれに子供の教育に精一杯力を注ぎながらも、具体的な考え方や行動は多様であるという、ある種当然の事実だった。 学校生活、学校外の塾や習い事、家庭での勉強や遊び、子供の将来への期待など、様々な面で、母親たちが細かく配慮し、惜しまず態度や行動に表していることは確かである。しかし、母親が子供に投入できる金銭・時間・文化・ネットワークなどの資源には、家庭によっておのずと違いがある。・・・略・・・
 家庭教育重視の政策は、その格差を助長し、すでにぎりぎりの状態にある母親たちにさらに圧力をかけることになる。 ・・・略・・・  
 必要なのは、家庭外に、家庭間の格差を最大限補完する機会を、公的に充実させることだ。」
 塾でも、年に何回か個人懇談をして、保護者の方々と話をする機会を持っていますが、いつも思うのは、保護者の方々は皆熱心で、本当に子どものことを考えていらっしゃるということです。子どもたちの将来を真剣に考えていらっしゃる姿に触れて、私自身の気持ちを新たに引き締める機会にもなっています。 
 公的機関が充実して塾の出番がなくなってしまったら、それはそれで困りますが、でも、家庭の経済力や保護者の時間的ゆとりで子どもたちの能力にも差がでてくるという事実に、心を痛めることも多々あります。
 昔は、経済力がなくても、やる気さえあればということはありました。そして、今でもやる気がなければ確かに伸びません。でも、今の時代は、経済力があれば、あらゆる勉強をする機会に恵まれます。
受験の際でも、「私立は絶対に無理」という場合と、「いざとなったら私立でもいい」という場合とで、思い切って志望校を受けるかどうかの選択にも、経済力が左右してきます。そういうことを考えると、割り切れない気持ちになる時もあります。
でも、心配をよそに、子どもたちはそれぞれの選択をして、想像以上にたくましく育っていくものなのですけれども・・・。